20131013 酷道157号

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酷道(こくどう)とは国道の事である。
国道なのに酷い道。それを酷道と呼ぶ。
本来国道とは主要地点間を結ぶ重要路線であり、
しっかりと整備されて安全に走れなければ国道は
その役割を果たしていないも同然である。

しかし、世の中には国道と指定されているにも関わらず
悪路、狭路、断崖絶壁などの難所を通過しなければならない
区間保有する国道が存在する。

メルメルは遂にこの矛盾に満ちた道へ足を踏み込んだ。
今回は落ちたら死ぬ!!の標識で有名なR157を走る。

立案者メルメル
引率者けんさん
道連れちょー太さん
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10月13日午前7時半。
羽島PAでちょー太さんとけんさんと待ち合わせ。
大垣からR157酷道区間を目指した。
お二人とご一緒するのは春の御岳山以来だ。
既にこの時点で悪路マニアけんさんが
不敵な笑みを浮かべていた事は言うまでもない。

R157酷道区間岐阜県本巣市福井県大野町までの
およそ90km区間である。

淡墨桜で有名な本巣市根尾川沿いの快走区間を走り、
10年近い期間崖崩れで通行止めとなっていた区間が復旧し
去年R157全線開通。長く閉ざされていたゲートを通り抜け酷道区間へ入った。
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因みにR157は冬季通行止めとなる為、
酷道区間を走れるのは1年の内半年程度だ。

道沿いを流れる川は神秘的な色だった。
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基本的な酷道の条件として狭路というのがあるが、
常に狭路である為に3台が停車して写真を撮るというのは
バイクでも容易ではない。

出来る限りの酷道振りを言葉で表現するしかない。

酷いその1
絶望的な狭さ。
バイクだからいいものの、車の場合対向車が来たら
待避所が現れるまで断崖絶壁を後退するしかない。

酷いその2
洗い越しという川が道を横切る区間がやたらと多い。

酷いその3
ただでさえ狭い道のセンターは常に
小石~拳大くらいの石が転がっている。

酷いその4
驚異的な見通しの悪さ。

酷いその5
繊細な日本人の仕事とは思えぬ雑な造り
(橋などの段差の度にフロントフォークがボトムエンドまで沈む)。

酷いその6
散乱した枯葉と石の見分けが付かず、
石を避けたつもりでも結局石を踏まされる。

酷いその7
無舗装ゾーンが突然現れたりガタガタの石畳のような路面を走らされる。
バイクが傷み汚れまくる。

酷いその8
断崖絶壁にも関わらず基本的にガードレールがない。
肝心な所には更にない。
 
この酷さを写真でお伝えできないのが非常に悔やまれる。

もう存在意義が不明としか言い様がない道なのだ。
しかしながら、それとは引き換えに随所に絶景が待ち受けている。

手付かずの自然。
そんな景色が広がっている。
しかし、それを堪能する余裕はないに等しい。

気を抜いたら終わりだから。

しかし、こんな道でも写真の温見峠を目指してやって来る人は多い。
ここは登山口となっており、かなり賑わっていた。
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ガタガタの温見峠を下り、
廃村となっている温見集落にある長いストレート。
温見ストレートと呼ばれ、なかなか良い雰囲気だ。
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酷道ツーリングでは写真が難しく、
ここの写真が今日のベストだったので最後に紹介しよう。

これ以降徐々に道は良くなり、普通に走れるようになる。
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が…
悪路マニアけんさんがR157だけで満足しない事など
覚悟の上だったのでけんさんが行きたいと言っていた
九頭竜湖へ抜けるK230へ進入した。

悪路なのは覚悟の上で承諾したのが間違いだった。
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この笹生川ダムまではそれほどでもなかったがこれ以降は…
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うわ………………
最悪だこの道!!!!!!!!!

R157の悪路振りなど可愛いものだった。
コーナーの度にビタビタの松葉やら泥やらが敷き詰められており、
コンディションが史上最悪。

しかも50kmも続く。
黄鬼の本領発揮だ…私がうんざりすればする程けんさんは楽しいのだ。

ちょうど中間地点付近のコーナーに差し掛かった時、悲劇に遭遇した。

対向のバイクが石に乗り上げ恐らく
パニックブレーキで転倒した直後だった。
当然ガードレールはなく、崖側のギリギリの所だった…

幸いご本人は無傷だがバイクはハンドルが歪み
ミラーが吹っ飛びブレーキレバーがひん曲がっていた。

路肩に停車し、手伝う。
何とかエンジンがかかるが、ハンドルバーが歪んでいる為
スロットルを回せても自分で戻さないと回り続けてしまう
という恐ろしい状態で走る事を決意された。
 
無事を祈ります。

我々は九頭竜湖に向け再出発。

車であれバイクであれ、ましてや14Rで
こんな道を走る事自体間違いとしか言い様がない…

14Rは私にとって大陸を駆け巡る為にあるバイクなのだ。
快走路を走り続ける為のバイクなのだ。

悪夢のK63同様、二度と走りたくないというか
二度と走る事はない道にめでたく選出されたK230だった。

そしてようやく辿り着いた九頭竜湖
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「もううんざりです」

「フォッフォッフォッフォッ!!!」

けんさんは死ぬ程嬉しそうだった。

この時点で13時過ぎ。
岐阜大和の辺の道の駅で食事をして、私は頑なに帰ります。
私がサザエさん症候群というのもありますが、
それよりこれ以上一緒に走ると更なる悪路へ連行されるからです。

K52が復旧したという情報をガソリンスタンドで
入手してしまったけんさん。
是が非でもK52経由で帰りたがるけんさん。

ちょー太さん「もう嫌だ!!」
けんさん「なーんで~復旧したばっかだから綺麗な道だって~」
 
そんな筈がない。絶対ないのだ。

抵抗も虚しく連行されたちょー太さん…

もう悪路には懲り懲りです…
しかし開拓しようと思うと走らざるを得ない時があるので、
そこが難しいです。
皆さんもR157~K230に挑戦してみてはいかがでしょうか。
その際は常に安全運転を心掛け、
ちょっと路面が良くなったからって間違っても
攻めるような走りはされない事をお奨めします。
 
落ち葉のない季節で数日間雨が降っていないタイミング
であればもう少しコンディションはいいと思います。
 
~温見ストレート~
 
私が一番見たかった景色です。
どこまでも続いて見える細い一本道。
ジブリ映画に出て来そうな雰囲気に思えました。
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